意外なことに、佐々木は絶対音感を持っている。 轟が音を外したのも、高橋のテンポが遅れたのも俺が間違えたのも、全部分かっていた。 「…もう一回。文化祭、この曲出来ないよ。」 そんな厳しいことを時折言いながら、俺等はそれに従った。 それぞれに納得の出来る一曲が仕上がったのは、夕日が海にのみこまれる少し前。