クスクスと笑い始めると止まらなくなった音宮。

…大丈夫か。

「美形な“連れ”を持つと大変。」

「こっちの台詞だ。」

真っ黒いブーツを履く彼女の隣を歩き出す。

夜の街は騒がしい。

「…綺麗。」

イルミネーションの木を見上げながら、呟いている。

「付き合う前。」

なんでか言いたくなった。

「ん?」

「お前、矢祇のこと好きなんだと思ってた。」

「はぁ!?」

案の定、すごい顔で睨まれた。

そして腕に腕を絡ませてくる。

「まぁ、お互いさまか。あたしもアクツさんと付き合ってると思っていたし。」