「やっぱ美冬か!
てか‥大丈夫か?」
涙と鼻水でくしゃくしゃに
なったあたしの顔を見て
涼汰は驚いていた。
「‥あ、転んだ‥だけ」
泣きすぎで
かすれてしまった声で
あたしはドラマみたいな
言い訳をした。
見え見えの嘘なのに。
気付いてるはずなのに。
「‥怪我、してない?」
君の優しさは、
前と変わっていなかった。
「あ、うん!大丈夫」
本当は大丈夫じゃない。
あたしの心は、
もうボロボロで。
でも、涼汰にもう貸しは
作りたくない。
「じゃあ‥」
あたしが立ち上がって
帰ろうとすると
「せっかくだし、お茶でも」
涼汰に引き止められて
あたしは断ることが
できなかった。