画面が変わって、 女の人が映し出された。 整った顔立ちに、 長くて黒い髪。 左手薬指には、 徹とお揃いのあの指輪。 「橘グループが、 ホテル業界大手の雨宮グループ との契約をすれば、格段に ホテル事業が拡大するでしょう」 あたしは苦しくなった。 なぜかは、もう分かってる。 「多分もう会えないよ?」 ―徹のこの言葉の意味を。 知りたくなかったのに。 あんな綺麗な人に 勝てっこない。 あたしは 気づいたら泣いていて。