でも徹は、

「お金、あげるけど?
みーがそれで俺と会って
くれるなら、いくらでも」

真剣なのか、冗談なのか。
解らない声で、そう言った。

「やっぱいらない。
お金、困ってないし」

…正直動揺していた。
徹があたしの事を
そこまでして抱きたい理由が
分からない。

女の子なんて
他に沢山いるのに。

彼女もいるはずなのに。

ほら今日も、

徹の左手薬指には、
やっぱり指輪が輝いていた。