ある日知らない番号から
着信が入っていた。
下4桁が0110。
警察からだった。
留守電を聞いてみると
捜索願いが出されてるとの事。
家出してから早1ヶ月。
ついに警察までもが
動き出した。
もう1件知らない番号から
着信が入っていた。
携帯の番号で留守電は
入っていない。
たまたま携帯を弄ってる時に
かかって来て間違えて
通話ボタンを押してしまい
無言で携帯を耳に近付けた。
受話器の向こうから
聞いたことの無い女の人の声。
"私はあなたを産んだ"
耳を疑った。
あたしを産んだ母からの電話だった。
"パパには言わないから居場所を教えて"
その言葉を信じ、住所を教えた。
数時間後、着いたと連絡が来たので
外へ出ると、やっぱり知らない女の人が
車の中からこっちを見てる。
"初めまして。…じゃ無いけど(笑)"
軽く挨拶をして
どうして母が今目の前に居るのか
話をしていた。
父の連絡を完全に拒否ったあたし。
学校で連絡網が周り、警察へ行ったが
手掛かりが掴めず、父が"お前なら…"と
母に頼んだらしい。
あたしと母は不思議な再会をした。
色々と話し合い、父は二度とあたしに
手を上げないと約束し家に帰った。
それと同時に彼氏と別れた。
家に帰ったのはいいが
2ヶ月近く学校に行ってなかった為
そのままあたしは登校拒否をした。
髪も金髪のまま。
煙草も止めず、地元では
ただ目立っていた。
女友達なんて居ない。
仲良いのは不良の男の先輩。
夜出掛け、朝に帰り
昼間寝て、夜出掛ける
これの繰り返し。
まともにご飯も食べず
2ヶ月ちょっとで9㎏落ちた。
そんな中また事件が起きた。
あたしの生活態度に
父もいい加減我慢の限界だったんだろう。
ちょっとした事から喧嘩になった。
いつも通りの口論。
でもその日だけは違った。
"俺が全部悪いんだろ?"
"今すぐ俺を殺せばいい"
耳を疑った。
包丁を差し出されたあたし。
どうする事もできず
自分の部屋に籠もったが
無理矢理引きずり出され
殺せとお願いされた。
確かに恨みや憎しみはあるが
父を殺す理由は無い。
あたしが何もできずに佇んで居ると
父が近寄ってきた。
オレガオマエヲコロス
オレガオマエヲコロス
オレガオマエヲコロス
……………。
包丁を突き付けられたあたし。
あぁ、死ぬんだね
父が包丁を振り上げた時
父の携帯が鳴った。
携帯を取りに離れた隙を狙って
自分の携帯を持ち、玄関へ走った。
それに気付いた父は
あたしに向かって家にある分の
包丁全てを投げ付けてきた。
幸い、酔っていた父は見事に的を外したので
あたしに当る事は無かった。
それが余程悔しかったのか
父が玄関まで走って来て
あたしの手首を有り得ない方向に捻り潰した。
バキバキって音がしたのは
今でもはっきり覚えてる。
それでも抵抗するあたしに
父も諦めがついたらしい。
勢いで外へ飛び出したあたし。
家の前には実母が立っていた。