──ごめん、元。
あたし、ほんとはね。
「…折りたたみ傘、持ってるの」
あたしの言葉に、カバンを傘代わりにしようとしている元が目をまんまるくする。
それに対して、あたしの頬が自分でわかるほどに赤く染まった。
「……じゃあ…なんで」
「〜っ…!おんぼろ傘に、入ってみたかったの!」
元の傘に…
入りたかったんだ。
″おんぼろ傘″
…やっぱりあたし、可愛くない。
そんな可愛くないあたしにゆっくりと近づいた元は、少しはにかんだような顔でこう言った。
「…じゃあ…折り畳み、借りてく」
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