「麻子が、好きだよ」







俺の声が空気に溶け込むと同時に…麻子の目から一粒の涙がこぼれた。




「麻子が好きだ」




俺はまるで確かめるかのように…麻子の名前を繰り返す。



「ごめんね…」



麻子の目には、今までに見たことがないような綺麗な涙。



「うん」


「…でも…ありがとう」



「…うん」



「…ありがとう…っ…」



「…俺も、ありがとう」






二人で、何十回もそんなことを繰り返して…




泣きながら…笑いながら、帰り道を辿った。

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