振り向いたあたしに、重たそうなカバンを担いだ元が近づいてきた。


一泊できそうなほどに詰め込まれたカバンが、痛そうにキシキシと声をあげている。


…どこからそんなにたくさん詰めるものを見つけてくるんだろう。





しゃがんだあたしの隣に並ぶ影。




「…しょーがねぇなぁ…入れてやっても、いいけど?」



目線を合わせずにそう言って、元は手にあった真っ黒な傘をバサッ…と開く。



その光景を目を真ん丸くして見つめるあたしを一瞬見ると、元は大きな傘をクイと振ってあたしに入るように促した。





「…入ってやっても、いいけど?」





─我ながら、可愛くない。






一向に止まない灰色の雨。





ちょっといびつな形の黒い傘が、元と可愛げのないあたしを…体育館から、連れ出した。


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