─しばしの沈黙。




瀬川さんがゆっくりと口を開いた。



「がんばってね」




そう言って俺をじっと見つめる。

なんだか繕っている自分を見透かされていそうで…


でも、目がそらせない。



「…でも」




瀬川さんは優しく笑った。



「…でも、がんばりすぎないでね」













…涙が、




出そうだった。





瀬川さんは、そんな俺に気を回してか…颯爽と教室を出ていった。







…俺に、気付いてくれていたんだね。





本当の俺を、見てくれている人がいたんだ。






胸に熱いものがこみあげて、俺は…それを押さえることができなかった。


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