「ケーキなんていかかですか?」

私は今日もバイト。

ケーキの売り込みだ。

普段は、「シエル」というケーキ屋で働いている。

シエルは商店街にあって、毎年クリスマスになるとケーキを外で売り出すらしい。

私は運悪く、その係になってしまったのだ。

私の目の前に、白い箱が12個並んでいる。

私が売っているのは、雪のように白くて、真っ赤な苺がまぶしいショートケーキ。

今すぐに、箱を開けて食べちゃいたくなるような外見。

だからなのか、直ぐに売り切れてしまった。

「あのケーキ美味しそうだったな。」

一人でぽつりとつぶやいた。