「てゆーか……イジメじゃないかな?」

ふと思った事を言ってみれば二人は、

「ウチ等が実景の事苛めるわけないだろ」

「イジメじゃなくて弄ってるんだよ。 実景ってドMじゃん」

なんて少し恐ろしい事を言ってみせた。 正直言えば「Mじゃないよ」とか色々言いたい事はあったけど、言ったところで梨香と百に口で勝てる訳がないので諦めた。

そんな事より今はこの作文をどう埋めるかの方が大事に感じられたし。

「よし、んじゃとりあえずウチが質問してくからさっき言った通り深く考えないで答えろよ」

「いえっさー!」

「質問一つにつき五秒以内だよ実景」

「……え」

「実景、分かった?」

「はい……」

なんだろう、最近百がとてつもなく恐く感じる。

「ボーッとしてる暇はないぞ。 じゃあ質問行くからな」

そう言えば梨香は自分のコーラを一口飲んでから、

「実景の夢は?」

そう聞いてきた。

「ゆ、夢は……」

「五秒以内だよ」

「――っ!? シンガーソングライターです!!」

危うくまた考えてしまうところで百からの助け船が出た。 どちらかと言えば考え過ぎてしまうことにより百から降される制裁の恐さ故に答えられた様なものだけど。

「じゃあその為に実景がしてる事は?」

「えっと、アコ太郎の練習と月二回のストリートライブ?」

「じゃあ――」

その後も梨香からの質問は矢継ぎ早に来て、その内考えちゃいけないと言うよりも考えてる暇が無くなった。

だって梨香がケータイのストップウォッチで五秒を正確に測るし、百がそんな様子を素晴らしい笑顔で眺めてるんだもん。

「そんじゃ最後の質問な」

「うんっ!」

質問開始から五分位、ようやく質問が尽きたようだ。 最後と言うことで梨香も少し間を取ってから口を開いた。

「高校卒業した後、その夢叶える為にしなきゃいけない事はなんだ?」

「しなきゃ……いけないこと?」

流石にパッと答えは浮かばず百へ目を向けると、

「実景、これはゆっくり考えて良いよ」

そう微笑んでくれたので、実景はゆっくりと考える事にした。






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