「ありがとう、大丈夫よ。」


なんとかお礼を言って立とうとしてるのに、体が言うことを聞いてくれない。


早く帰らなきゃ、達也と千春が待ってるのに。


「お姉さん、立てないし。
うーん、そうだなー。
お姉さん、迎えに来てくれる人いないって、旦那も彼氏もいないって事?」


「旦那って。
結婚してないし。
彼氏いないわよ、悪い?」


もう、辛いんだからしゃべらせないで。


「そっか。」


男の子が私をじっと見つめる。


何なのよ。


「お姉さん、彼女になる?
俺、彼女に優しいよ。」


真面目に聞いて損した。


いい子だと思ったんだけど、そう甘くないわね。


さて、どうやって帰ろうかしら。


立てないのは事実。


駅員にタクシー乗り場まで、連れてってもらうか。


うーん、お金が。


達也の病院代で今月苦しいんだよな。


「ちょっと聞いてる、お姉さん?」


うるさいな。


少し休んで歩いてなんとか帰るか。


「お姉さんてば。」


「なに?」


考えまとまらないじゃない。