なかなか帰ってこない。
もしかして、私信じちゃいけないやつ信じちゃった?
もし、千春目当ての変態なら、昨日千春と二人きりの時に何かしてるはず。
今日は達也もいるし、大丈夫、大丈夫。
達也もいる…し?
達也?
達也目当てだったら?
達也目当ての変態だったら?
心臓が止まりそうになる。
体が震える。
そうだ、悟の携帯。
手紙枕元に置いたはず。
手紙を見ながら、携帯のボタンを震える指でなんとか押す。
呼び出しが一回、二回、三回。
お願い、出て。
「はい、小百合どうした?」
悟の明るい声。
「たっ達也と千春は?」
「保育園に送ったよ。
もうすぐ俺着くよー。」
「うっうん。」
「どうした?
泣いてる?」
「泣いてない。」
泣きそうだったけど。
「どうした?」
「だってなかなか帰ってこないから。」
あなたが達也を襲ったと思いました。
「まったく、しかたないなぁ、小百合は。
俺の彼女は甘えん坊さんだね。
もうすぐ着くからね。」
電話を切って、すぐ保育園へ電話。
達也も千春もいた。
よかった。