「おいしい。」


レトルト粥侮れない。


「ごめんな、レトルトで。」

申し訳なさそうな悟。


「ううん、いろいろありがとう。」


「いいよ、だって俺、彼氏だろ。」


へっ?


まだそれ続いてたんだ。


黙っていると、悟がじっと見てくる。


「俺、彼女じゃないと優しく出来ないけど?」


やばい。


彼氏とか彼女とかは置いといて、まだ体調万全じゃないのに、今悟に出て行かれると非常に困る。


悟、どんなやつかはわからないけど、今は困る。


すごく困る。


どうする私?


えーい、もうどうにでもなりやがれ。


「悟は彼氏で、私は彼女です。」


うわ、棒読み。


「よし。」


うれしそうにする悟。


悟、謎だわ。


何者?



「食べ終わったら、薬飲んで。」


目の前に置かれる、水の入ったコップと薬。


食卓には、朝ごはん。


楽しそうな達也と千春。


…………なんか、彼氏でいいかも。