「あ、こら!瞳に抱っこされていいのは
俺だけなんだぞっ!」
「テルおとなじゃーーん。」
「俺はいいんだよー。」
大人のお兄ちゃんが何でこんなレベルの低い言い争いをしているのかと言うと、それは私の膝の上にちゃんと座ってるこの子のため…
「おれ、ひとみちゃんにホレちゃったもん。」
なんて無邪気に笑って私を見上げているこの子、快斗(カイト)くん。6才。
サラサラのちょっと色素の薄い茶色っぽい髪が私の顔の下をくすぐる。
可愛い。子どもっていいな。
「ホレちゃだめ。瞳は俺のなの。」
「いやいや、瞳ちゃんは孝幸のだろ。」
当たり前って顔して言うお兄ちゃんに、完全にって顔をしながらタケさんがツッコむ。
「で、このちっこいのは何なわけ?」
「ちっこいのってゆーなよ。
メガネのオジサン。」
「お、オジサ…………」
快斗くんにオジサンと言われてしまったタケさんは6才の子ども相手にケンカしそうな勢い…
「ひとみちゃん、オジサン達がいじめる!」
「あ、こら、俺の瞳に抱きつくなっ。」
抱きついた快斗くんの頭を撫でる。
だから、私は孝幸のだってお兄ちゃん…
「おい、チビッ子!俺のどこがオジサン何だ」
タケさんまで…
これ、いつになったら話が進むの?