「つまり、教室を最後に出た人があやしいと思います」

「誰だ?」

「音楽室に最後にきたのは高蔵君と笈滝君です」

「お前らか?」

 高基教諭はすでにアリスではなく、高蔵と笈滝を犯人のような目つきでじっと見ていた。

「何だよ! 俺が盗むわけないだろう!」

 高蔵は犯人に疑われ、顔を真っ赤にして怒りをあらわにした。

 笈滝は真っ青な顔で黙ったままだった。

「笈滝、お前が犯人か?」

 高基教諭は笈滝を犯人扱いだ。当の笈滝は沈黙したままである。何かを言おうとしているが、言葉になっていない。