「えっ! そんなこと言われても、ごめんなさい」

 奈緒はドアを閉めた。

 笈滝は無言で突っ立っていた。

「何だ、ツトム! 話多のことが好きだったんだ。けど、振られたな」

 高蔵はお腹を抱えて、大笑いをしている。

「振られてやんの!」

 馬屋も笑った。

「別に……好きじゃない……」

 笈滝の目は真っ赤で涙が流れそうだった。

「嫌いなやつに好きとは言わないぞ」

 高蔵が言うと、笈滝は声を出して泣いた。