「はーい」

 室内から声がもれてきた。ドアが開いて奈緒が顔を出した。

「あ、あの……」

 笈滝は話を切り出せないようだ。下を向いてモジモジしていた。

「どうしたの?」

 奈緒も笈滝がしゃべらないので、首をかしげた。

「あの、あの……」

「だから、何?」

 奈緒は口調を荒げ、怒りを抑えているようだ。

「好きです……」

 笈滝は下を向いたままボソッと言った。