「はあ、そうですね」

 波教頭はあきらかに嫉妬している。この場を切り抜けるのは至難の業だ。

「教頭先生、お茶ですか? それともコーヒーがいいですか?」

 藤美教諭は高基教諭を助けるように、グッドタイミングであった。

「じゃ、コーヒーをもらおうかな」

 波教頭もいつのまにか頬がゆるんでいる。刺々しさはなくなっていた。

「先生……」

 と、言って職員室に入ってきたのはひとみだ。浮かない顔だった。

 高基教諭もうまくピンチを切り抜けたと、思ったらまたピンチか?