「悠登〜っ」


「おっせぇよ、バス出ちゃうだろ」


「ふっふっふ〜、悠登の分もあるよん」


出来たてのお弁当を悠登の顔の前にちらつかせる


「…ほらっ、行くぞ」


「…照れちゃってぇ、かっわい〜」


「ばっ…照れてなんかねぇよ」




悠登をからかいながら、学校へ向かう



「ほら」



悠登が急に手を差し出してきた



「ほらって何よ?」



「荷物持ってやるよ、お前どんくせぇし、転ばれたりしたら俺の昼飯までパァだからな」



「…。はいはい、ではお言葉に甘えて」



身軽になった私は、スキップ気味に悠登の先を歩いていく



「やけにるんるんだな…」


…はい、るんるんです


だって…慶吾先輩が私の作ったお弁当を食べて、『おいしいよ』なぁんて言いながら…



ふふふ…



勝手に妄想して、勝手ににやける





この日…

自分の考えの甘さを思いしることになるなんて


この時の私には想像もできなかった。