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「こんなとこに入れとかないで食べちゃいなよ」


「だめ〜っ」



キャンディが入った硝子の小瓶から、中身を取り出そうとした真紀の手を慌ててストップ。


「里緒菜って意外と乙女チックなとこあるよね」


「意外とって余計」


でも夢みたいだったな、慶吾先輩から話しかけられたことも


頭なでなでしてもらったことも




「親睦会でメアド、ゲットしてきなよ」



「そんなの無理」


「里緒菜らしくないじゃんっ、どんどん攻めなきゃ」


真紀の言う通り、いつもの私なら前進あるのみって感じなんだけど…



慶吾先輩の優しい瞳とか、おっきい手とか…思い出すだけで胸が苦しくて


行動する前に、断られたらどうしようって考えちゃったりする


今まではそんなことなかったのに



「倍率高いんだから、どんどんアピんなよ」


「…きっかけがわかんない」


「きっかけならあるじゃん」



真紀はキャンディを指差した。


「お弁当作ってさ、この間のキャンディおいしかったからぁそのお礼ですぅ…とかなんとか…あるでしょ適当に」



「なるほど…」


「感心してないで、行くよ」


「行くって?」



「お弁当って言ったら千春でしょうっ」




そういえば…男をとりこにするには、まず胃袋からって誰か言ってたような言ってないような…