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生徒会室での顔合わせが終わったあと、帰ろうとした里緒菜を先輩が呼び止めた。
『里緒菜ちゃん学級委員なんだ』
『はい』
たった一言の会話で顔を赤くする里緒菜
『手、出して』
『え…』
里緒菜の手に乗せられた、一粒のキャンディ
『昼休み、いいもん見せてもらったから』
『………』
『何か困ったこととかあったらいつでも俺に言って』
先輩は里緒菜の頭を軽く撫でて生徒会室を出て行った。
キザなやつ…
けど様になってる
悔しいけどいい男
『里緒菜、帰るぞ』
『悠登ぉ…』
『うわっお前何っ…』
里緒菜は泣いていた
キャンディを握り締めて
『…嬉しいよぉ…』
嬉し泣きっておい…
今までいろんな男に恋をしてきた里緒菜を近くで見てきたけど、こんな里緒菜は初めてだった。
それはきっと里緒菜が本当の恋に落ちた瞬間だったんだと思う。
里緒菜は慶吾先輩を本気で好きになる…そう思った。
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