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「悠登、里緒菜ちゃんってさ、好きなやついんの?」
「知らねぇ、男とは最近別れたばっかだけどな」
「どんな男がタイプなんだろう」
あぁ…うざ…
学校出てからずっとこの調子で続いてる直哉の質問攻撃
里緒菜のことばっか…
隆司は笑って聞いてるだけだし
「本人に聞けよ」
「聞けないから悠登に聞いてんだろ〜」
わかってるし、ほんとは知ってるけど教えないし
その繰り返しでくだらない会話のやり取りがエンドレス
「二年の柏崎先輩とか?」
いきなり隆司の口から出た、里緒菜が恋こがれる男の名前
柏崎 慶吾
「何で知ってんだ?」
「入学式の前に里緒菜ちゃんが先輩と話してたの見たんだ、里緒菜ちゃん顔真っ赤だったしな〜」
…全然気付かなかった
里緒菜は慶吾先輩に会ったんだ。
だからあんなにるんるんで帰って行ったんだな…
「よぉし…柏崎だな〜っ、要チェックだ!じゃ俺こっちだから、また明日な」
直哉は敵うはずもない慶吾先輩に、一人でライバル意識を燃やしながら帰った。
「…他の女と携番なんか交換してるから気付かないんだよ」
っそこまで見てたとは…
「何で好きな女いんのに他の女と…」
…こいつの観察力はただ者じゃない
俺は観念した
「今から家来るか?」
「…やっと話す気になったな」