「里緒菜〜っ、柳〜っ」
「あっ真紀ーっ」
校内に入ると人が群がっているのが見えた。
「何あれ?」
「クラス表じゃね?」
「行こ行こっ」
人の山をかきわけながら、一番前にたどり着いた。
「「げっ最悪」」
二人の声が重なり、それを見て真紀が笑う。
「よかったじゃんっ、みんな一緒でぇ」
「「よくないからっ」」
「ちょっと真似しないでよっ」
「真似じゃねぇよっ本音だよ」
「ほら目立ってるから…とりあえず教室行こう」
知り合い同士でかたまってガヤガヤと騒がしい室内
「あ、さすが柳、もう友達出来てる」
悠登は入り口のドアのところで初めて見る男の子二人と何やら楽しそうに会話中。
…愛想笑いしちゃって…
私の視線に気付いた悠登と目が合った。
こっちに向かって口を動かしている。
『…ば…
…か…』
…何をーっ!
「里緒菜?聞いてる?」
「あごめん、…あれ?」
真紀の隣に女の子が立っている。
「田中千春です。私、同じ中学の子と別のクラスになっちゃって…」
…うわぁ可愛い子…
小っちゃくて、髪の毛サラサラで、目がくりくりしてて、見るからに純粋そのもの、お嬢様って感じ…
「小泉里緒菜です。里緒菜でいいよ、よろしくね千春。」