「…我慢ばっかさせてごめん」

「うん」

耳元で遥の声がひどく心地が良い。


「俺、凌のこと、すっげぇ好きなの」

「うん」

甘い言葉と一緒に、私の首筋に触れる遥の唇が優しい。



「…もうダメかと思ったんだ」

「うん」

まるで泣きそうな弱々しい声。
強く抱きしめられて、私も遥の首に腕を回す。


「ほんと…夢だったらどーしよ」

「ふふ」


私が遥の肩で笑うと、遥の腕が少し安心したように緩んだ。


「もう絶対、凌に辛い思いさせないように頑張るから」


「…うん。私だって、遥や愛那には何だってちゃんとぶつかるから」


もう逃げたりしない。


そう言った私に
これまでで一番嬉しそうに笑う遥が、誰より愛しいから。