「…私は遥に会えなかった事のほうが悲しかったよ」


いつもの私なら絶対に言わないような言葉に、遥は少し目を見開いた。


それでも、さっきからずっと
真っ直ぐに私を見てくれる遥に、今は不思議と恥ずかしさはなかった



どんな時間でも
どんな話であっても

あの日会えたなら、きっと私は嬉しかった



「…っごめん……
本当は帰ってから後悔したんだ。
何も考えずに会えばよかったかもって」


私の腕を掴む力が強まる。
まるで、私を好きだと訴えているみたいに。



「告白…断ったことないって。
…誰でもよかったって」


(あ、まずい。思わず口から出て…)



「亜梨紗に聞いたの?」

「ちがう…」


目を合わせない私に遥はぎこちなく微笑む


「…否定はできない
確かにそうだったかもしれない
でも、今は違う。凌は違う」


「そもそも…凌は俺が告ったんだし」



「? そうだっけ…」

ポカンとする私に、遥は"忘れてんなよ"と
困ったように微笑む。



「……そっか。」

少しだけ 拍子抜けだ。