「好きでもない人と付き合うなんて
おかしいでしょ?」


『これまで告白を断った事なんて一度もないの』


きっと告白を受け入れられることは何より嬉しいけど。

適当な、同情まじりの返事は
何よりも悲しいよ。


それはすごく、

「…残酷だよ」

「……え?」


「遥の優しさは残酷だよ」



真相を聞く勇気すらないくせに
遥ばかりを責める私を嫌って。


「適当に受け入れるんじゃなくて、ハッキリ突き放すことも優しさだよ」


目を見ることもできないのに、全部を遥のせいにする私を軽蔑して。

「少なくとも私は…そう思う」

そうすれば私だって諦めがつく。



「って、…私何言ってんのか分かんないね。ごめん」

つい余計なことを言ってしまって苦笑い。



「とにかく。今までありがとう
…お世話になりました」


私は一人で一気に喋って、
逃げるように教室を出た。