目を大きく開けて泣きそうな表情で私を見る遥。



「優しい遥には、飽きちゃった」


飽きるわけない。

でも、遥のその優しさと曖昧さに振り回されて、少し疲れてしまったのも事実。



「…だから、別れる」


そこで俯いてしまった私は
遥の表情が分からない。

反応が見たい。ちゃんと顔を見て伝えなきゃ。
でも、見るのが怖い。


「昨日のことが原因?」

「…ちがう」

「じゃあなんでっ…「「もう好きじゃないの」


お願いだから、もう何も言わないで。
これ以上は声が震えそうなの。



「私はもう遥なんて好きじゃない。だから別れる」


私は同じ言葉を何度も繰り返す。

遥に本気が伝わるように。
自分に言い聞かせるように。



声が少し震えたことには
どうか気付かないでいて。