「――………は?」

やっと聞こえた遥の声。


「私ね、遥のこのムダに高い身長が好きだった」

近くにいるだけで安心する。
抱きしめられればもう、遥のことしか考えられなくなるんだ。


「あと、声かな」

遥の低い声は落ち着くんだよね。
何度でもその声で名前を呼ばれたいと願ってしまう。


「……凌?」

やめて そんな顔しないで。



「優しい遥が好きだった」

「…っ凌待って、何言おうとしてる?」


遥といれば、私も優しくなれる気がした。




言葉にできるのはほんの一部だけど。
言葉にしてしまえば図々しいけど。


本当に好きだった。

自分が思ってた何倍も
大好きだった。きっと、今も。


「待って、ちょっと待って凌…」

もう泣きそうなくらい顔を歪めて私の腕を掴む遥。


私はそんな遥を真っ直ぐ見つめる。


「…でもね」 「凌っ!」


今は呼ばないで。

私の決心を揺すらないでよ。





「…でも、もう好きじゃない」