玄関で靴を履いていると
後ろから制服姿の遥が追いかけてきた。


「凌~、待ってくりー」



…"くり"とか言ってる時点で余裕でしょ。



「遥ー?
凌ちゃん怪我さすんじゃないわよー?」

靴を履き始めた遥に
奥のキッチンから遥ママの声が。

「はいはーい」




―ガシャン

「おし。行くぞ」

「おう。れーっつごー」



いつも通り、私は遥の自転車の後ろに乗せてもらう。





こうやって、まるで昨日は何も無かったようにいつも通り学校へ向かう。


"昨日、ありさちゃんの様子はどうだった?"


口に出せるはずない。



"遥が看病してあげたの?"


聞きたい事は山ほどあるのに。