「……凌」


携帯を閉じて私の横に戻ってきた遥。

また困った顔で眉を下げてる。



「んー?」

これが作り笑いなのか、もう自分でも分かんないなぁ


「ごめん急用ができて…
タクシーで送ってくよ」

「あー…、いいよ
電車で帰る。1人で大丈夫だから」


「1人じゃ危…「「遥急いでるんでしょ?
まだ明るいし大丈夫だよ
気にしないでいーって」



"今日は朝も会ったんじゃないの?"


…醜い本音は飲み込んで。



「……ごめん、気をつけろよ」


"謝るくらいなら行かないで"



私の本音。

わがまま、嫉妬、独占欲

口に出したら終わってしまう。



「ん。ばいばいー」


そう手をふってから、私はタクシーに乗り込む遥から目を逸らした。



正直、電車にもタクシーにも乗る気分じゃない。

なんか、何もかもに反抗的したい。1人になりたい。
……歩いて帰ってやる。