「にゃ……」

(そうだ)


ここまで来るのがあまりにもスリリングで、すっかり忘れていた。

紗希。

どうしているだろう。

あ、紗希というのはオレの彼女……だったヤツだ。昨日まで。


先の黒いしっぽが無意識に動いた。

それを眺め、カラダを起こして座り直した。


古いベンチの、ささくれて尖った木の一部がケツに刺さって痛い。

少し移動して、もう一度姿勢を正した。