会長は深いため息をつくと、わたしの腕の中からそっと猫を抱え上げた。


「…名前は?」

「え?」

「だからこの猫の名前。」

そのきつい言葉と裏腹に、会長は愛おしそうに、猫を撫でた。





会長の言葉で思い出した。…そういえばまだ名前付けてなかったんだった。

「ま、まだです。」


わたしがそう言うと、またため息をつく会長。

「は?じゃあ今までなんて呼んでたの?」

「…猫とか猫ちゃんとか?」


プッ

ちょ、ちょっと…そんな笑わなくても!




「ゆきってバカ?」

「バカじゃないです!」

失礼な…何がバカよ。