わたしは、会長の元へと足を進めた。
「ちょっと…いい?」
「…ゆき。」
わたしは驚いた顔の会長の腕を掴むと、来た道を戻りはじめた。
「…おい、ちょっと。」
「会長は…ちょっと黙ってください!」
わたしは家に入り、小猫を抱き抱えると、家の外で待つ会長の元へ戻った。
「この猫…」
会長…だいぶ驚いてる。
「この前、公園で見つけたんですよ。…かわいいですよねっ。」
わたしは、そう言って猫を撫でた。
「ゆき、お前…」
「わたしは…ただ猫が雨に濡れてかわいそうだったから、助けただけです。」
別に会長のためじゃない…わたしが猫を助けたかったから。