「ちょっと、ゆき~!矢野千秋がそこに来てるんだけど。」
美月が慌てて教室にやって来た。
え?今、な…なんて?
廊下に目をやると、確かに会長の姿があった。
うわ…また会長不機嫌だ。
「おざわーっ!矢野が呼んでる!」
クラスの男子がわたしに大声で呼びかける。その声に、クラスがざわつき、みんなの視線が集まる。
ちょっと…恥ずかしいって。
「ほーら、ご指名だよ~。
」
美月が楽しそうに、わたしの手を引いて、廊下に連れ出す。
なんか…会長に会いたくない。
わたしの姿に気づいた会長は、目を丸くしていた。
「ゆきのこと…ちょっと借りてもいいかな?」
その視線の先にいるのは美月で…美月は激しく頷いた。