叔母さんと母は気を利かせて出て行った。

二人だけの時間。

「どうして急にいなくなっちゃったの?」

「ああ。あの頃、両親が離婚しそうでね。
どっちについて行くか真剣に迷ったんだ。
アメリカに行く父。ついて行かない母。
父につけば生活はがらりと変わってしまう。
学校も友達も・・・当然、椎奈も失う。
かと言って母について行っても・・・。
俺よりも男を選ぶ女だったからな」

「だからって・・・今まで何の連絡もないって。
酷過ぎるよ!」

「ごめん、それは本当にごめん。
でも・・・椎奈に頼ったら・・・俺ずっと甘えてしまいそうで。
強くなりたかった。
早く大人になって、一人前になって椎奈を迎えに来たかったんだ」

「そんな事言って。
私が誰か他の人と付き合ってたら?
別の人と結婚してたら?」

「その時は・・・キッパリ諦めるつもりでいた。
でも・・・いなかったんだろ?そんな男」