響からのメールの返事は『わかった。あんまり遅くなるなよ』だけだった。
こんな短文でもなんだか、嬉しい

「ほら、行くわよ。」

「あ、はい!」

ケータイをたたんで、ポケットに入れて千鶴さんの後を追った。

エレベーターの前で中島さんと合流して会社を出た。




駅近くのおしゃれな居酒屋。

「変わってないな…このお店」

と中島さんが懐かしそうに店内を眺めて言った。

ビールと適当に料理を注文した。

「あたしも久しぶりに来たわ。」

「そうなんだ。」



中島さんのNYの話や千鶴さんの結婚の話とかいろんな話をした。

その間でも響のことが気になってしょうがない…

「そろそろ帰らないと!明日も仕事なんだから。」

もうすぐ11時を指そうとしている。

「そうだな。」



もう響帰ってるかな?遅くなったから怒られるかな?




「あたし、今から彼が迎えに来てくれるから。」

駅で千鶴さんと別れて、中島さんと2人になった。

「茜ちゃん、送って行くよ。家どこ?」

「近いんで大丈夫です。」

万が一、響に見られたら…

「女の子が一人で歩いてたら、襲われるよ。世の中何かと物騒だからね。」

…どうしよう…そんな笑顔を向けられたら…断れない

「じゃあお言葉に甘えて。」

「じゃあ行こうか?」




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