「茜ちゃん!」

はっ!いけないまたぼーっとしてた。

「何かあったの?」

千鶴さんがあたしを心配そうに見てくる。

「大丈夫です」





「NY支社から戻ってきました。中島宗佑です。」

隣の部に海外の支社に行ってた人が戻って来たらしく、今日はちょっとにぎやか。

若いのにすごいなぁ…あたしより3、4つ上のはず…

「彼、あたしの同期なの。英語とフランス語が話せるらしいのよね」

懐かしそうに千鶴さんが説明をしてくれた。

「そうなんですか」


適当に返事をして自分の仕事を始めた。

集中力が切れると響のことを考えてしまう。



昼になって、千鶴さんとランチに行こうとしたとき。

「立石!」

振り替えると支社から戻ってきた人だった。

「久しぶり。」

「元気そうだな。今さっき川越に会って聞いたよ。立石、結婚するんだってな。」

「うん…もう少し先の話だけど」

「おめでとう」

「ありがとう。で、中島は?」

「今はフリーだよ。戻って来る前にフラれた」

人懐っこい笑みを浮かべる中島さんは、あたしをちらりと見ると

「立石、いい人紹介してくれよ。例えば、この子」

中島さんの指がしっかりとこっちに向けられている。



えっ!?あたし?



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