定時になるまで平間さんは来なかった。
朝見たのにどうしたのかな?具合でも悪くしたのかな?
「茜ちゃん、今日は休むのよ!」
千鶴さんに引っ張られるように会社を出そうになった。
「ち、千鶴さん!ちょっと響と待ち合わせしてまして」
「あら?いつの間にかそういう関係に?早く言ってくれればいいのに!」
誤解してる!?まだ返事とか言ってないから…
「違いますよ!医務室まで連れてってもらったお礼をしないと」
「してないの?」
聞かれたので、うんと頷いたら千鶴さんは「きちんとお礼しなさい」と言い帰って行った。
遅いな…響…残業でもしてるのかな?
ベンチに座って待っていると、エレベーターから響が降りてきた。
「遅い。」
「悪い、仕事が残ってて…」
バツの悪そうな顔をしている。
「それなら仕方がないよ。今度今日のお礼とかさせて」
「悪いな…でも今あの時言いかけたこと教えて欲しい」
立ち上げって帰ろうとしたあたしの手首をつかんだ。
まだ人が少しいるところだから、誤解されそう…
「それも、今度でいい?お礼の時に」
「…わかった。気をつけて帰れよ」
響は悲しそうにあたしの腕を放した。
ちょっとドキドキした…
手首にまだ響の暖かさ残ってる気がする
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