「なるほど。キミにはあたしがそんな風に見えてるんだ」

彼女はブランコから立ち上がった。






「聞かないの?何で、あのとき死のうとしてたのか?」



「きっと何か理由があったと思うから。キミが話してくれるまで聞かない」

俺が答えると、彼女は微かに微笑んだ。





「キミ、おもしろいね」




「俺、大学1年の矢野柚流(ヤノ ユズル)」


「同じく1年の綾崎雅(アヤサキ ミヤビ)」










この時、キミの名前を初めて知ったんだ。





ねぇ、雅




あのとき、キミを追いかけて良かったって思ったんだ。



追いかけたから、キミのことを知ることができた。









でも、キミが抱えていたものは俺が想像していたものより遥かに大きかったんだ。