加奈子が死んだ。

その事実を聞いて、それでも、私は特に何の感想も抱かなかった。
確かに驚きはある。でも、悲しいとか気の毒だとかの、驚きの後に来るべき感情が何一つ無かったのだ。
「本当だって!昨日の夜に学校の屋上から飛び降りたんだってさ!」
私のリアクションが薄かったせいだろう。私がその話を信じていないのだと思ったらしい晴美がまくし立てる。
「別に疑ってなんかないわよ。……そう。自殺なんてするような人にはみえなかったけど。」
私は私の中にある無感情に従って言う。「……うん。昨日だって変わったところなんて無かったのに」
一方で晴美は興奮から悲しみへと、感情を一転させて言った。