僕は少し迷ったが、男性の質問に答えてみることにした。
「はい。僕は三羽瀬 渡ですけど……」
答えた後、男性は意味深げな笑みを零し、「そうですか」と呈した。
僕はその笑みの理由が分からずに疑問に思っていると、男性は「では」と言って中腰になり、手を差し伸べてきた。
「え……?」
訳がわからず、相手の顔を見上げた。
「水城様のお屋敷に案内いたします」
そう言いながら、僕の手をぎゅっと掴みあげた。
は、はい?
水城様のお屋敷って誰??
「ささ、参りましょう」
掴んだ僕の右手を引いて歩かせようとしとした。