「貴方、三羽瀬 渡さんですか?」
凛とした男の人の声が、いきなり頭上から落とされた。
僕は呼ばれたその声に驚き、相手の顔を確認すべく、顔を上げた。
僕の目の前には、スラリとした背の高い男の人が立っていた。
背が高く感じたのは、僕が座っているため、よけい高く感じたのかもしれない。
だけど、僕の身長は158cm。
今、学校に通っていたら、学年は高校生だ。
平均よりもかなり小さい僕は、僕と比べて10cm以上高いだろうと予測できた。
その男性はこの路地に似合わないスーツを着ていて、僕の反応を窺っている。