僕は食料が入ってる箱に手を伸ばし、黄土色の袋から、ハチミツ入りのパンを取り出した。






一口、口に含むと、甘くとろ~りとしたハチミツが広がった。





「…うん。やっぱり、おいしい」





一言つぶやき、また一口運ぶ。






このパンは翔さんの手作りで、いつも食料の中に入れてくれる。






それのせいか、いつの間にか僕は、ハチミツ入りのパンが大好物になってしまった。





程よく口の中にハチミツの甘さが広がり、パンもフワフワでとても美味しい。






こんな独りで暮らしていると、幸せに思うときなんてないけれど、このパンを食べている時だけは幸福感を感じる。






そうしてパンをおいしく頬張っていると、路地の向こうから足音が聞こえてきた。