家族3人で囲むはずだった、どこにでもある普通の誕生日会。
なのにそこには、僕ととうさんの2人しか家にはいない。
『ねぇ、かあさんは…?どこに行ったの?ねぇ…とうさん!』
とうさんの服の裾を引っ張りながら問いかける。
『今日は僕の誕生日だよ?3人で祝うって約束したじゃん!なんで、かあさんはいないの…?』
僕の問いかけにとうさんは黙ったまま、顔をこわばせある一点を見つめていた。
その日から、かあさんの姿を僕は見ていない。
とうさんも訳を話してはくれなかった。
僕はその時、悟った。
とうさんの言ったあの言葉は、かあさんのことだったんだと。
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