夏のあの日、病院で。 『オレ、遥のこと“すっげぇ好き”だった』 『あたしも…。 凌のこと“すっごく好き”だった』 過去形で気持ちを伝えあって以来、家は近いのに、偶然にでも遥に出会うことはなく、淡々と月日は過ぎ9月になった。 交換留学で来たアメリカでの生活は、授業や弁論大会の準備で何かと忙しく充実していて、余計なことなど考える暇もない。 …そう思っていた矢先の事だった。 「“はるか”って誰?」 他の男の口から それもアメリカで “遥”の名前を聞いたのは。