『明日、花火大会だよね? 俺、車椅子で屋上から見る許可もらったから、一緒に見よ? 遥ちゃん、浴衣着てきてよ』 そんなメールを長谷川くんからもらったのは、昨日の夜。 ふぅ… 小さくため息をつきながら、あたしは浴衣を取り出す。 ―――花火大会…か…。 今まで、凌以外の人と行ったこと、なかったな。 ―――浴衣…か…。 今まで、凌以外の人のために着たこと、なかったな。 …っ!! こんなこと考えるなんて、あたし、最低だ。 何を聞いても 何を見ても 凌・凌・凌…って。 ほんと、自分が情けない。