「どうしたの?急に……」  


長身の彼の顔を覗き込むように、真上にある彼の方へ顔を向けると…… 



それを払い除けるように、私を抱き締める彼の腕が、一層、強まった。   



耳元で、「会いたかった」とだけ、彼は囁いた。 



でも、気のせいか、なんとなくもの悲しそうな、よく分からない表情をしていた。


それでも、嬉しさのあまり、「うん、うん」と、私は何度も頷いた。 



しばらく彼の大きな胸に抱き締められた。