こうして、大越くんにはっきりと断る理由ができた私は、意を決して、彼を呼び出した。


場所は、近所のファミレス。


二人きりで会うのは怖いから、人の出入りが多い休日のファミレスを指定した。


「野田さんから誘ってくれるなんて、嬉しいなぁ」


にこやかに笑いながら目の前に座る大越くんに嫌悪感を抱きながらも、キッパリと告げた。


「私、好きな人ができたの。その人と付き合うことにしたから、もう付き纏うのは止めて下さい」


彼の眉が、ピクッと動いたのを見逃さなかった。


「どういうこと?」


「大越くんとはお付き合いできない、ということです」


テーブルの上に置かれた彼の両手は、ギュッと固く握られ、怒りを押し殺しているようだった。